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2004.02.06

企業と働き手の新しい関係~テーマを楽しむ、課題に帰属する。

青色LED訴訟でいろいろ書いてきたのは「企業と働き手のこれから」を見る前振りだった(笑)
そのつもりだったのに、忙しさと青色LEDネタが自分の中でもベタ化してしまい(わらい)、書くタイミングを逃してしまった。

ようやく、本題。企業と働き手のこれからの関係の兆し/ウォッチング。

★  ☆

充分古新聞になってしまったけれど、1月30日日経新聞の連載「新会社論」に取り上げられていた製薬会社イーライリリーの研究開発サイト「イノセンティブ」の記事。

 世界をまたぐ巨大研究所が膨張を続けている。ロシア人、インド人、そして日本人。“所属”する研究者は四万六千人にのぼり、日本最大級であるNTTの研究所の十五倍。そこに毎日、数百人が加わる。米製薬大手イーライリリーが二〇〇一年にインターネット上で始めた研究開発サイト「イノセンティブ」だ。
 仕組みは簡単。研究開発上の課題をサイト上に提示し、事前登録したソルバー(解決者)と呼ばれる研究者たちが知恵を絞る。すぐれた解決案を寄せると、一万ドル(約百五万円)以上の報奨金が贈られる。

Linuxの開発方法をきっとモデルにしたのだろうと思うのだけれど、Linuxは個人発。この研究開発サイト「イノセンティブ」はイーライリリーという企業組織発。

それでも、研究者・技術者はLinuxの時と同じように反応するようですね。

 イーライリリーには六千人の科学者がいるが、それでも世界の医学研究者の一%以下。「外部の頭脳を共有し、研究速度を上げる」と事業責任者のダレン・キャロルは言う。このサイトを使って「問題」を出したいという企業も増え、最近、日本の化学会社と製薬会社が参加を打診してきた。
 社内の英知を集めても解けなかった難問が、あっさり解決する例も多い。答えは意外な場所からやって来る。細胞の毒性にかかわる課題を解いたのは元研究者の米国人主婦。本来の毒性学でなく、数学を駆使して解決策を導き出した。これまで最高の報奨金を手にしたのはポーランドの化学者で総獲得額は十五万ドルだ。

☆  ☆  ★

いったいなにが起こってるんだろう。
まったくランダムで裏付け無しだけれど(ニガワライ)、考えてみる。

□研究領域が細分化されて研究課題の解決のために多くの研究者が必要となり、解決策が企業の外にあるケースが多くなった。例えば引用したように主婦がそれを持っている場合だ。

これが大げさな一般的な捉えだろう(笑)

★  ★  ★

少し奥行きに入るとこんなことになってやしないか?

□研究者のインセンティブは実は「課題」、つまり仕事。おもしろそうな仕事が与えられれば、それに吸い寄せられる。しかも、おもしろければ面白いほど、優秀な頭脳が吸い寄せられる構造。
そもそも研究者にとっては、組織(企業)は二の次。テーマ(仕事)第一、という精神構造なのだ。
いやいや、研究者だけではなく人はみんなそうなんだろう。

□過去、興味深いテーマ(仕事)が与えられるもっとも効率的で刺激的な場が学会であったり、企業組織であったのが、インターネットによって世界から与えられる構造になった。
ボクらはモチベートされる課題をついに世界から得られるようになったんだ

□そんな大げさな捉えをしなくてもボクらの日常に「なぜかモチベートされて課題解決にやっきになっている自分」を発見することができる。
「ダウンロードするのはどうしたら良いんでしょう」というFAQに対して、「それって、こうしたら解決できるよ」とやってるんだから。

★  ★

前提としての「カネという報酬」の問題はある。
あるんだが豊かになってきたからこそ、「企業が提示するつまらない仕事・課題」にそっぽを向き、世界が与えてくれる「萌え課題」にボクらはモチベートされる。

糸井重里の「欲しいものが欲しい」は見事に成熟時代の「消費」の問題をスケッチしたけれど、萌え要素がなくなってしまった「研究や仕事」もとうとう「欲しいものがないなぁ、・・・ん?・・・うぉぉぉぉぉお、こんな課題があるのか、・・・ふむ・・」と自分の欲しい課題が世界から与えられる状況になってきてるんじゃないかなぁと感じる。

そんなこんなで、ボクらは「萌え仕事」を企業組織よりも外から与えられるようになっている。
企業が働き手を吸引するには、魅力的な仕事をどんどん創出するしかなくなっている。

が、そう簡単に魅力的な課題は発見できませんですよな。

結局最大の問題は、イーライリリーの「イノセンティブ」のその前、「イノセンティブ」という研究開発サイトにテーマアップするための「それ」をどう創出するか、そこに22世紀も企業が存続しうるかどうかのカギがありますよな。

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Comments

カイパパさん コメントありがとうございまする。

「シビレマシタ」ってコメントにめちゃくちゃ喜んで庭を駆け回っています。

>「燃え尽きずにしぶとく生き残るにはどうしたらいいんだ?」

燃え尽きず しかし しぶとく生き残り。 
これって、難しいテーマだなぁ~~

運を呼び寄せる技を磨き上げないといけないですよね。
あっ、今日のアップ記事、これにしよう♪

コメントありがとうございました。

Posted by: ono | 2004.02.12 09:59 AM

>豊かになってきたからこそ、「企業が提示するつまらない仕事・課題」にそっぽを向き、
>世界が与えてくれる「萌え課題」にボクらはモチベートされる。

なんだか、この切り取り方シビレマシタ。

最近、自分のテーマは
「燃え尽きずにしぶとく生き残るにはどうしたらいいんだ?」
ということに純化されてきたような気がしています。

そのヒントが、今回の記事には含まれているような気がします(^^)

Posted by: カイパパ | 2004.02.12 05:47 AM

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